北信越1部リーグは残り2試合を残して1位と2位が勝ち点差なし、得失点差わずかに3という大混戦。JSCの牙城に挑むのはサウルコス福井だ。監督の石田学は31歳と若いながらも指導歴は10年を越え、かつては福島ユナイテッドを率いた経験もある俊英である。直近の試合をざっと見たところ、スタメンで去年から在籍している選手はわずかに2名。選手の入れ替わりが激しい下部リーグのチームとはいえ、ほぼ0から連携を深め首位争いを演じるまでに仕立て上げたサッカーとはいかなるものか。俄然興味を惹かれた私は千曲市サッカー場へ車を飛ばした。
試合は序盤からサウルコスがペースを握る。前半2分、左コーナーをサウルコス17番絹巻悟が頭で決めると、17分にはアルティスタ5番斎藤智閣がペナルティーエリア内でハンドで得点機会を阻止したとして一発退場。このPKをサウルコス10番坂井優介が落ち着いて左隅に決め、リードを広げる。JSCとの得失点差を埋めたいサウルコスはその後も攻撃の手を緩めることなく貪欲に点を取りに行く。結局坂井優介のハットトリックを含む5-0の大勝となり、JSCとの得失点差を2に縮めた。
アルティスタは今年何度か試合を見る機会があったので、選手の特徴やどのようなサッカーをするのかはある程度把握していたのだが、ここまで大差をつけられるとは予想していなかった。リーグ戦では残留を決め、全社県予選は決勝で敗れており、消化試合の意味合いが強かった部分はある。それを差し引いてもサウルコスの強さが目立った試合だった。
サウルコスはこの場面ではここに選手が走り込むというパターンが徹底されていて、かなり細かい部分まで練習しているのではないかと思われた。視野が広く「サッカーを知っている」選手が多く、この順位につけているのも納得だ。システムは4-3-3を採用していたが、アンカーの23番前田岳、ワントップの10番坂井優介以外の中盤は流動的にポジションチェンジを繰り返し、どんどん選手がボールを追い越していくサッカーを展開。高い位置から積極的にプレスをかけてショートカウンターを狙い、小気味良くパスをつないで確実にゴール前までボールを運んでいた。加えて相手のミスを見逃さないしたたかさも光った。後半の30分過ぎから、点を取りたい前線と失点を防ぎたい守備の選手の間があいてしまい、そのスペースをアルティスタのカウンターで突かれてピンチになるシーンがあったので、そこは修正点であろう。石田監督もそこは課題としてしっかり認識しているようなので、次節までに対応してくることだろう。
一方のアルティスタは、序盤で退場者を出してしまったものの、やり方次第ではもう少し粘れたのではないかという淡白さを感じた。プレーもミスが多く、そこをサウルコスにつけこまれるシーンが目立った。今シーズンは良くも悪くもチームの「若さ」は感じていたが、この試合はそれが悪い方向へ転んでしまったようだ。後半にスーパーサブ17番秋満友樹が投入されてからは盛り返し、9番田中剛を中心に果敢にゴールを目指したが、サウルコス守備陣の堅守に阻まれてしまった。タレントは揃っているし、去年の実績からしても残留に満足するチームではない。最終節でJSCに鉄槌を下し、今年4度目となる天皇杯県予選準決勝上田ジェンシャンとの東信ダービーに弾みをつけたい。
最後に触れておきたいのはサウルコスサポーター。優勝争いをしている中、遠く福井から50人ほどが駆けつけ、熱心な・・・というにはいささかのどかな声援を送っていた。しかしながら非常に楽しそうに応援していたのが印象的で、コーナーでチャンスとみるや、コールリーダーの呼びかけに一斉にタオルマフラーを回すなど、これから先サポーターが増えていくのではないかという予兆を感じた。総得点なども加味すると、逆転優勝は非常に厳しいと言わざるを得ないが、最後まで粘り強く戦い抜きたい。
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http://gotoalwin.blog.shinobi.jp/Entry/110/北信越1部第13節 アルティスタ東御0-5サウルコス福井